『Sweet Rain 死神の精度』 舞台挨拶&単独インタビュー
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これまでにも、『陽気なギャングが地球を回す』や『アヒルと鴨のコインロッカー』などの作品が映画化された人気小説家・伊坂幸太郎の世界が、再びスクリーンに! 死期の迫った人間と死神が織りなすファンタジックな物語を、実力派キャストと透明感ある映像によって紡ぐ『Sweet Rain 死神の精度』が、2008年3月22日(土)より公開される。
【舞台挨拶】 筧昌也監督 金城武 小西真奈美
本作の公開に先立ち行われた試写会に、主演の金城武、小西真奈美、監督の筧昌也が登場。会場内のあちこちには、死神のトレードマークである白い手袋をはめたファンの人々もーーそんな、はじけんばかりに期待感を膨らませた観客を前に、舞台挨拶が行われた。
伊坂ファンの間でも、『死神の精度』は高い評価を受ける作品。そして、主人公の死神・千葉を演じた金城武もまた、その物語に惚れ込んだ人物の一人だった。そのため、劇中では「いかに原作の千葉(の雰囲気)を出せるか」という点を考えつつ、映画ならではの新たな死神像を導き出していったという。「無表情っぽいときもあれば、ちょっとおかしなところもある。メリハリをつけて演じたので、そこを楽しんで欲しいと思います」。
一方、小西が演じた役柄は、1980年代のOL・一恵。彼女は幼い頃から、自分の愛した人が死んでしまうという不幸な女性。そんな人物を演じるにあたり、小西が注目したのは一恵の陰の部分ではなく、千葉と出会うことで生まれる光の部分だった。「笑うことや心から楽しむことを忘れてしまった彼女が、ふと笑顔になる瞬間や、気持ちがほぐれる瞬間を大事にしたいと思ったんです」。
そんな小西によって、心の機微が映し出された一恵と、人間とは異なる価値観を持つちょっとコミカルな死神。二人の「絶妙にズレた」会話は、何ともほほえましい空気をかもし出す。しかし、そこには「ある人にとっては不幸な出来事も、別の視点から見ると、いつか笑えるような出来事になる」という、生きるヒントのようなものが隠されていると、小西は付け加える。
死神・千葉は、なぜだか雨男。そのためシーンに雨は不可欠。映画の撮影では、よく “晴れ待ち”という言葉を耳にするが、『Sweet Rain〜』においては“雨待ち”をしなければならなかった。梅雨の時期を狙って撮影されたにも関わらず、あいにくの晴天続き…実際の“雨待ち”、また、降らなかったことでのセッティング待ちと、雨にはかなり苦労させられた(小西が晴れ女だったこともあり…)といったエピソードも明かしながら、雨の情景が印象的に仕上がった本作にちなんで、金城からこんなメッセージが送られた。
「この映画を通して、特別じゃないけど大切なもの、自分の身近にあるのに気づいていないもの、方たちを何となく発見してもらえたら、冷たい雨も甘く感じられるんじゃないかと思います」。
【単独インタビュー】 筧昌也監督
初の長編監督作に、金城武というビッグネームを迎えた筧監督。ただならぬプレッシャーを想像せずにはいられないが、監督には「世界的なスターの方だけど、僕みたいな2、3年前まで自主映画をやっていたような人間の感覚を、分かってくれるんじゃないか」という自信があったそうだ。「主演をされてる方は出番が多いので、製作の全行程を見ることになる。だからこそ、映画に対して俯瞰的な見方をされると思うんですよね」。そして、その予想は見事的中し、「クリエイター的な目線を持ちつつ、最終的には僕に任せてくださってすごくやりやすかった」と金城の印象を語る。
そんな金城が演じた死神・千葉は、浮世離れした空気を持ちつつも、人間界になじまなけれならない難しい役柄。まさに、映画を生かすも殺すも、このキャラクターにかかっていると言っても過言ではない。だが、これに関しても監督に恐れはなかった。筧監督いわく金城には、「ハーフの俳優さん独特の、どこにいても地面から5センチくらい浮いているような存在感がある」のだという。確かに、小西と食事をするありふれたシーンでも、二人の間には薄いベールか何かがあるかのように、違う次元の世界が存在する。「“のび太”だけがいたら普通なんだけど、“ドラえもん”を入れただけで物語がファンタジーになっちゃうみたいなね」。
筧監督の劇場デビューは、『美女缶』というオリジナル脚本作品。それだけに、原作ものに対する抵抗については気になるところ。だが、「とにかくこの原作がものすごく好きになってしまったんです。その上、完成度が高いにも関わらず、自分が入り込む余地があるような気がした」。さらには、「数年後に、自分でもこういう死神の話を思いつくんじゃないかと考えてしまったぐらいフィットした作品」だったと、運命的とも言える原作との出会いを打ち明ける。
しかし、運命的と思えるのは、それだけではない。筧監督は、2008年2月スタートのテレビドラマ『ロス:タイム:ライフ』でチーフ監督を務めているが、なんとこの作品も“人間の最期”が重要なモチーフとなっている。
「テレビってブラックなものを描くのは難しくて、『ロス:タイム:ライフ』なんかはサッカーという明るい要素を入れることでギリギリ成立してる。でも、『Sweet Rain〜』の雰囲気は、なかなかテレビじゃ出せない。このじっとりとした暗さ、そんな中、時折出てくる希望。このタイプの作品は、映画だからこそ(できたん)じゃないですかね」。
共通のテーマ性を持つにも関わらず、まったくカラーの違う2作品が同時期に発表されたことは、監督いわく「偶然でしかない」。だが、死にまつわる作品を立て続けに世に送り出した監督に、死神・千葉の口癖「死についてどう思う?」をぜひとも投げかけてみたくなった。
「死やネガティブなもの、暗い物、ブラックなもの、毒、こういう要素って必要だし、絶対存在するもの。何より、そういうものと映画って、すごくマッチすると思う。それがあるからこそ、明るい部分をコントラストとして作り出せるはずだから、きっと映画とは相性がいいと思うんですよね」。
Text:今井裕紀子
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筧昌也監督 プロフィール 1977年、東京都生まれ。2003年、『美女缶』でゆうばり国際ファンタスティック映画祭2003オフシアター部門でグランプリを受賞。また、ぴあフィルムフェスティバルアワード2003企画賞にも輝き、2004年に劇場公開される。さらには2005年、テレビドラマ「世にも奇妙な物語 春の特別編」で本作をセルフリメイク。2007年公開の映画『恋するマドリ』では原案、2008年、テレビドラマ『ロス:タイム:ライフ』では、原案・チーフ監督・脚本を務める。そのほか、アニメーション制作や、漫画の執筆を手がけるなど、多岐に渡る活動で注目を集める。 |

金城武 プロフィール 1973年、台北生まれ。1993年、『ワンダーガールズ東方三侠2』で映画デビュー。ウォン・カーワイ監督作『恋する惑星』(1994)、『天使の涙』(1995)で主演に抜擢され、世界的に脚光を浴びる。以降、5か国語を話す国際派俳優として活躍。1997年からは日本でも活動を開始し、テレビのCMや連続ドラマ『神様、もう少しだけ』(1998)などにも出演。そのほかの出演映画は、『不夜城 SLEEPLESS TOWN』(1998)、『LOVERS』(2004)、『傷だらけの男たち』(2006)など。 |

小西真奈美 プロフィール 1978年、鹿児島生まれ。つかこうへい主催のワークショップからつかこうへい劇団に入団。舞台を中心に活動するが、2001年、NHKの連続テレビ小説『ちゅらさん』への出演を機にテレビ界でも人気を集め、以降、『天体観測』(2002)や『瑠璃の島』(2005)など、多数の作品に出演。2007年、「きらきら研修医」では連続テレビドラマ初主演を飾った。主な出演映画は、『阿弥陀堂だより』(2002)、『blue』(2001)、『UDON』(2006)など。 |
『Sweet Rain 死神の精度』
金城武がお茶目な死神を演じる ファンタジー・ドラマ |
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