『歓喜の歌』記者会見 松岡錠司監督 小林薫
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音楽喜劇の新たな名作がここに誕生した! 『フラガール』(2006)などの配給・製作で知られる映画会社「シネカノン」の最新作『歓喜の歌』(2008年2月2日(土)公開)は、大晦日前日、とある町の文化会館のダメ主任が、2つのママさんコーラスグループのホール予約をダブルブッキングさせたことに端を発して巻き起こるドタバタを描いた、爆笑あり、ホロリと涙ありの物語だ。
原作は立川志の輔の同名落語。それを、『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(2007)の監督・松岡錠司、そして“オトン役”でイイ味を出した小林薫が再びコンビを組んで映画化。
大晦日前日と当日のわずか2日間で、息つぎの間もないほど、エピソードがめくるめく形で展開。それをキッチリまとめ上げた松岡監督の好腕がとにかく光る。松岡監督はその点について「物語が散漫にならず、また各人物を描き過ぎないように気をつけた」という。「落語はモノローグ的な世界で、噺家(はなしか)の技量が問われる。その点、映画は客観性が必要になるので、そこに注意をしながら、登場人物の人間像と背負っている人生を作り上げていった。そして、群像劇としてそれぞれの人生をかいま見せていったが、それがうまく成立した」と自信の表情。
小林演じる主人公の飯塚主任は、とにかくチャランポランな男。ホール予約のダブルブッキング、飲み屋のツケ代の請求、離婚危機など、クリアするべき問題が山積み。怒とうのごとく押し寄せてくるトラブルを前に、いく度となく逃げ出そうとするが、それでも渋々難題に立ち向かう。小林はこの飯塚について「植木等さんの『無責任男』シリーズ以来のキャラクター。高田純次さんのような人」と、分かりやすい例えを出して解説。「松岡監督は、僕の中に『飯塚みたいな要素がある』とおっしゃっていたのですが、それが僕の性格のことを指しているのか、それとも『こういう芝居ができる』という部分なのか・・・(笑)」。
それについて松岡監督は「小林さんを、森繁久彌さんやフランキー堺さんのような喜劇俳優と重ねてみていた。シリアスもコメディも両方演じることができて、物語をちゃんと“泳いで”いる。その中で観客を笑わせることができる俳優は、今は小林さんしかいない」と絶賛した。
確かに飯塚という男は、飄々としたテキトーさが楽しいが、何よりも見限れない人情味をたたえており、“バラエティ”としての笑いとは明らかに違う。キャラクターとしての芯や温かみにきっちり触れることができる。今はお笑い芸人が俳優デビューを飾ることも少なくないが、やはり昭和の喜劇俳優に及ばないところは、そういった部分なのかも知れない。
小林の口から「小さい頃からルーキー新一や、暁新・ミスハワイが好きだった。東京コミックショーもツボにはまっていたし、中田ダイマル・ラケットもおもしろかった。自分の中にはそういう琴線がある。みる人によっては僕の芝居を『ルーキー新一のようだ』と思うかもしれない」と、昔懐かしのお笑い芸人の名前がポンポンと飛び出したが、松岡監督の言葉をくみ取れば、それは決して意外なことではない。
例えば中田ダイマル・ラケットなんかは、『化け猫御用だ』(1958)など数多くの名画に出演しているが、お笑いでいうところのいわゆる“オチ”の役割になっておらず、役者として、ひとつの演技として味わいが深い。この『歓喜の歌』は、そういった“昔ながらの喜劇”に似て、奇をてらっていないところに、笑いが生まれるのだ。
「本作でもっとも力をこめたシーン」について尋ねられた小林の答えは、まさにそれを射たものだといえる。「意図的に『ここがおもしろいですよ』という演技はしなかった。人生に置き換えて考えてみても、そうやって特に力を入れるときって、あまりないじゃないですか。だから『力を入れて』というふうな芝居をしなかった。ただ、そうしたら試写会で本作を観たとき、『あの場面ってこんなに笑えるところだったっけ』という、芝居をしていると気づかなかった、意外な発見がたくさんありました。だからみなさんも、『このシーンが、こんなふうに感動的になるんだ』というところに注目して観て欲しいですね」。
Text:田辺ユウキ
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松岡錠司監督 プロフィール
1961年、愛知県生まれ。1981年に『三月』でPFF(ぴあフィルムフェスティバル)に入選。1990年に『バタアシ金魚』で劇場用映画監督デビューし、ブルーリボン賞新人賞などを受賞。1992年には『きらきらひかる』でシカゴ国際映画祭ゴールド・ヒューゴー賞受賞。そのほか主な監督作に『さよなら、クロ』(2003)、『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(2007)。
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小林薫 プロフィール
1951年、京都府生まれ。1971年より唐十郎主宰の「状況劇場」に在籍し、その演技に注目が集まる。1985年に映画『それから』『恋文』で日本アカデミー賞助演男優賞、ブルーリボン賞助演男優賞を受賞。そのほか主な映画出演作に『もののけ姫』(1997/声の出演)、『秘密』(1999)、『ゲド戦記』(2006/声の出演)、『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(2007)。
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『歓喜の歌』
真心は餃子から…(?) 歓喜のコーラスで心は1つ!
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