『全然大丈夫』インタビュー 荒川良々
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野球で例えるなら、大砲でありながらもホームランを狙わず「つなぐ意識」を強く持つ、いわゆる「つなぐ4番バッター」というところか。
松尾スズキ主宰「大人計画」の一員で、『ピンポン』(2002)や『下妻物語』(2004)など名バイプレーヤーとして出演作を量産する個性派・荒川良々。映画というきらびやかな舞台において“あまりに日常的な装い”が逆に非日常感を醸し、朴とつとした見た目も反則技のように作用。「1度見たら忘れない」という、インパクト大の“ホームランバッター・タイプ”でありながらも、素朴なイメージに徹する俳優である。
そんな彼がついに『全然大丈夫』(2008年2月23日(土)公開)でメジャー系長編映画初主演を飾ったわけだが、「(出演者の名前順で)たまたま一番上に自分の名前があるだけです」と意に介さない。同じく「大人計画」のメンバーで、2007年、『舞妓Haaaan!!!』でひと足早く長編映画初主演を飾った阿部サダヲについても「(阿部さんが初主演したことへの)意識はないです」と淡々としたもの。
「主演をいただいたのは率直に嬉しかったです。でも個人的には、(主役より)脇役のほうに目がいきますね。例えばアニメの『天才バカボン』。主人公はバカボンなんだけど、バカボンのパパが中心になったり、お巡りさんが主役のときもありますよね。ひとりが前にバン!と出るんじゃなくて、いろんなキャラクターが主役のようになれるほうが、おもしろいんじゃないかなと思います。だから『全然大丈夫』も、最初に僕の名前が出てはいるけど、特定の主演は決まっていないんじゃないかな。『誰が主役か』は観る人がそれぞれ感じてもらえれば、良いなと思います」。
ということで『全然大丈夫』は形の上で(笑)、荒川の長編商業映画の主演デビュー作である。扮するキャラクターは、「世界でもっとも怖いお化け屋敷を作る」という夢を持つ青年・照男。ただし、年齢は30歳手前。「延々と続く自分探し」というよりも、結局のところ「探す」ことすら億劫(おっくう)で、「俺は憩いまくりたいの」となかなか動き出さない人間である。その精神は「何とかなるさ」「風の向くまま、気の向くまま」そのもので、どこか渥美清主演『男はつらいよ』シリーズの主人公・寅さんに通じる。観ながらにしてそう思っていたら、荒川本人の口から「自分はしいていうなら“寅さんマニア”かも知れません」という言葉が!
「照男のように何かを収集したりはしませんが、『男はつらいよ』シリーズは好きです。17作目の『男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け』(1976)が特におもしろい。僕が“寅さん”のキャラクターを演じるなら? やっぱりタコ社長じゃないでしょうか(笑)」。
そんな寅さんファミリーのごとく、劇中では木村佳乃、岡田義徳と不思議なバランスの人間関係を形成している。実際の現場でのやりとりは、どういうものだったのか。「いい空気感でした。僕と岡田さんは、はしゃいで会話が盛り上がるタイプではないから、沈黙になっても怖さがない。だけど木村さんはフランクで、お話が楽しい方。3人とも世代が近いこともあって、無理をすることのない、いい関係が築けました」。
「マイペース」という言葉がよく似合う荒川。「この仕事が次につながるぜ、と深く考えたことはありません。目の前の役を、きっちり演じるだけです」と荒川流は崩さない。ミュージカル映画で歌って踊る・・・なんて姿も観てみたい気がするが「コントで歌ったことはありますが、映画ではないですね。でも、歌えといわれれば歌いますけど(笑)」。
Text:田辺ユウキ
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荒川良々 プロフィール
1974年、佐賀県生まれ。1998年より松尾スズキ主宰の「大人計画」に参加。その後はテレビドラマ、映画の個性派脇役として活躍。主な映画出演作は『真夜中の弥次さん喜多さん』(2005)、『嫌われ松子の一生』(2006)、『魍魎の匣』(2007)など。
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『全然大丈夫』
地味で“ゆるい” 世界観がクセになる癒し系コメディ |
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