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『フローズン・タイム』 ショーン・エリス監督インタビュー

イギリスの人気写真家が長編監督デビュー、映画界に「ショーン・エリス」という可能性を示した快作
 

イギリス出身の写真家ショーン・エリスが、長編初監督ながらクレバーなストーリーテリングで魅せる『フローズン・タイム』(2008年3月8日(土)公開)。

不眠症をきっかけに、周りの時間をストップさせる能力を得た美大生――、このキャラクター設定からは、例えばミシェル・ゴンドリー監督作『恋愛睡眠のすすめ』(2007)、さらにはマーティン・スコセッシ監督作『タクシードライバー』(1976)などを連想させ、“眠り”に障害を持つ人間のジャンキーさが横たわる。まさにこれはゴンドリーの脳内世界に通じ、さらには、『トレインスポッティング』(1996)でシーンに叩きつけられた初期ダニー・ボイルの疾走感とも、言い回すことができる。映画界に「ショーン・エリス」という可能性を掲示した、記念碑的快作であることは疑う余地なし。

イギリス映画界が世界に発信する新たな才能。それを大いに感じさせたエリス監督が2007年11月、第14回大阪ヨーロッパ映画祭にゲストとして参加。『フローズン・タイム』の上映終了後に、ティーチインを行った。

「この物語で描かれていることは、自分の実体験も含まれています」というエリス監督は、「少年時代、クラスメイトの少女がケガをして、ギプスをつけていた。そして、彼女がギプスを外したとき、腕の毛が伸びていたんだ。周りは気味悪がったけど、自分はそれを見て『美しい』と思った。僕は幼い頃から、ほかの人とは少し違った美意識があったみたいなんだ。そして、その思い出を(作中でも)描いている」と、映画の中のワンシーンについて解説した。

ということは、同じく少年時代の思い出として語られる、我が家にやって来た“風呂あがりに全裸で歩き回るスウェーデン人のお姉さん”の話についても、「あれは実際にあったことなんだ」と笑って振り返る。ただ、そういった鮮烈な印象が、アーティスティックに女性を描くきっかけであったことは間違いない。スウェーデン娘のビジュアルは、肉体的なもの、というよりも映像センス的なぜい肉がそぎ落とされた、フォトジェニックとしての完成度がきわめて高い。

もちろん映画的な深みもある。主人公のベンが時間を止めたとき、なぜかひとり、グレーのパーカーを着た謎の人物だけ、動き回る。多様な意味をにじませるシーンだが、エリス監督いわく「時間が止まった中にあっても、『ベンは決してひとりではないんだ』ということを表している。『もしかすると、想いを寄せている女性を、自分の世界に連れて来ることができるのでは・・・』という可能性を、ベンに含ませた」。

「もともと映画監督になりたかったんだ。だから今は、写真を撮っているとき以上の幸せを感じる」と、充実の表情を浮かべたエリス監督。彼のハイセンスは2作目以降も期待を抱かせるとともに、真価も問われる。“初期衝動”ではない次回作に注目だ。


Text:田辺ユウキ


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ショーン・エリス監督

ショーン・エリス監督 プロフィール
1970年、イングランド・ブライトン生まれ。「VOGUE」(日本版、イギリス版、フランス版、アメリカ版)などのファッションフォトグラファーとして活躍し、「Harper’s Bazzar」ではデイヴィッド・リンチ監督とコラボレートしたファッション写真を発表。2001年に短編『LEFT TURN』で監督デビュー。そして2004年に、『フローズン・タイム』のオリジナルとなる短編『CASHBACK』を製作。2005年度アカデミー賞短編実写賞にノミネートされたほか、トライベッカ映画祭など国際舞台で高く評価された。


『フローズン・タイム』
時間を止められる青年の恋を
スタイリッシュに描く
     



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