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『歓喜の歌』

『歓喜の歌』|ママさん版『フラガール』!?音楽喜劇の新しい名作が誕生

『歓喜の歌』|ママさん版『フラガール』!?音楽喜劇の新しい名作が誕生

ストーリー

『歓喜の歌』ママさんコーラスグループ

大晦日を翌日に控えた忙しい年の瀬。文化会館に勤める主任の飯塚は、大晦日にコンサートを行うママさんコーラス隊「みたま町コーラスガールズ」からホール予約の確認の電話を受けた。

しかし、会話を聞いていた部下の加藤が大慌て。そこで初めて、似た名前のコーラスグループ「みたまレディースコーラス」との、ホール予約のダブルブッキングが発生していることに気付く。

全部この男が悪いんです!

文化会館のお気楽主任・飯塚(小林薫)「しまった!」「みたま町コーラスガールズとみたまレディースコーラス両方から大晦日のホール予約を受けてしまった!」

『みたまレディースコーラス』と『みたま町コーラスガールズ』のWブッキング

『東京タワー』の小林薫と松岡錠司監督が再びコンビを組む

飯塚(小林薫)

「みたま町コーラスガールズ」と「みたまレディースコーラス」の名前を混同したために、大騒動の発起人となってしまった主人公の飯塚。文化会館での主任業はいい加減、妻からは三行半を突きつけられて離婚寸前、外国人ホステスに入れあげた挙句に“コワイ人”にゆすられる・・・。

イイ歳こいたトラブルメーカーを演じるのはベテラン俳優・小林薫。その軽やかな足どりと、成り行き任せなところは、『無責任男』シリーズの植木等を彷彿とさせ、テキトーだけど憎めない印象を与える。

特に、ちゃらんぽらんな飯塚が少しずつ改心し、コーラスグループのダブルブッキングのミスを解決するために奔走。誰に対してもテキトーに接していたけど、初めて(?) 人の役に立とうと努力することで、少しずつ他人の気持ちをくみ取る力を得る、その成長過程にグッとくる。

また、わずか2日の間にいろんな出来事が起こるが、詰めこみ過ぎている感は一切なし。各エピソードの塩梅の良さが目立つが、小林がオトン役で出演した『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(2007)を手がけた名ストーリーテラーの松岡錠司が監督ということで、なるほど納得。“ダブルブッキング解決”のコメディから、いつの間にか、登場人物それぞれの温かい家族ドラマに結びつき、ホロリと涙させるところはお見事。

『あの鐘を鳴らすのはあなた』など名曲揃い

本作のエンディングテーマは、人気バンド「クレイジーケンバンド」が和田アキ子の代表曲をカバーした『あの鐘を鳴らすのはあなた』。「改めて曲の詞を読み返し、本作の登場人物たちに捧げるにふさわしいと確信した」という松岡錠司監督が、クレイジーケンバンドのリーダー・横山剣に「曲を使わせてくれ」と熱望。横山はこの映画のために『あの鐘を鳴らすのはあなた』を再録音し、提供した。この曲がエンドロールで流れるころには、“歓喜”の度合いも最高潮に!

また、ママさんコーラスによる合唱も聴きごたえ十分で、クラシックのスタンダード曲『トルコ行進曲』や美空ひばりの『お祭マンボ』など名曲が揃うが、中でもベートーヴェンの『第九』には圧倒されるはず。

『フラガール』や『ゆれる』でおなじみシネカノンが贈る、音楽喜劇の名作!

みたま町コーラスガールズ(安田成美、他)

2つのママさんコーラスグループに対して、大晦日のホール予約をダブルブッキングしてしまった、文化会館の主任の奮闘を描く『歓喜の歌』。主演の小林薫をはじめ、キャスト陣には渋〜いベテランたちが顔を揃えている。

ただ、今の日本映画のヒット条件である「旬の若手スターが出演」というわけではないので、10〜20代前半の映画ファンは、どうしてもチェック不足になるかも知れない。しかし、それが理由で『歓喜の歌』を観逃すのは本当にもったいない。

ここでは、本作を手がけた映画会社が「シネカノン」である、という点に着目したい! 単館公開を主戦としながらもロングランヒットを記録する作品を連発してきた同社は、代表作に『パッチギ』(2005)や『誰も知らない』(2004)など、日本映画史に残るものがズラリと並ぶ。「良い映画を発表したい」という情熱のもと、興行うんぬんよりも作家性とアイデアにあふれた作品を重視し、多くの人の心を確実に響かせている。

もっとも記憶に新しいところでは、まず『フラガール』(2006)。並みいる大作を退けて2006年度日本アカデミー賞作品賞に輝き、同賞助演女優賞を受賞した蒼井優を名実ともにスターダムにまで押しあげた本作は、インディーとメジャーの垣根を取っ払うという珠玉の瞬間を実現させた、「シネカノン」の1つの到達点であった(代表・李鳳宇さんの授賞式でのガッツポーズは信念の結果を象徴しており、心にしみるものだった)。

また、2006年度キネマ旬報ベストテンで『フラガール』に次ぐ第2位にランクインし、同年度朝日ベストテン第1位に選ばれた『ゆれる』(2006)も、派手なメジャー作とは一線を画した硬派かつ濃密なドラマ性が受け、オダギリジョー主演という話題性よりも、西川美和監督の作家性に対する注目度のほうが上であった。

五十嵐純子(安田成美)

高水準の物語を作りこむ「シネカノン」は、目の肥えた映画ファンから、「月に1度しか映画館に行かない」という人まで誰もが満足できる、「お金を払う価値のある作品」を配給する。最新作『歓喜の歌』も間違いなく「音楽喜劇の新たな名作」といえる好内容だ!

2008年2月2日(土)公開
2007年 日本 112分
配給 シネカノン
監督 松岡錠司
原作 立川志の輔(新作落語『歓喜の歌』より)
出演 小林薫 安田成美 伊藤淳史 浅田美代子 由紀さおり
公式サイト http://www.kankinouta.com/

© 2008「歓喜の歌」パートナーズ




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