
「食べて飲めてノリが良くってしかも今っぽい酒場」 ができて、 僕らはこういう遊び方が街にあることを知った最近よく耳にする「バル」や「バール」といった冠詞の付く店だが、明確な定義は、ない。食べて飲めてノリが良くってしかも今っぽい酒場、といった「気分」の集合みたいなアモルファス(※)な業態だ。だから、酒場とは思えぬ皿に出会えたり、出すのは焼鳥でも「このノリってバルよね」だったり、ひとつの店の中にバル的なカウンターとレストランなフロアが共存していたり…という風に、垂直にも平行にも拡大進化していく。 とはいえ、これはバルだけの話に限らないの。「ビオワインを出す焼鳥屋」とか「魚職人が常駐するパブ」とか「ロングカクテルをキューッと飲めるパスタが名物のトラットリア」とか。挙げれば切りがないけれど、料理のジャンルやインテリアなどでは括れない、「何屋かわからない店」は街場のあちこちにあって、しかも流行っているのはそういう店ばかりだ。ミーツの2005年7月号の酒場特集の巻頭には、「もう、街場の酒場はあらゆるジャンル化・コンテンツ化を拒否している」とある。 「バル」という曖昧な言葉の同時多発も、こんな時代の気分の象徴で…とすれば話は簡単なのだが、そうだろうか? こういう「使い勝手の良い店」は、僕らの気分を代弁してくれるようで、実は店ができてから、僕らの気分が「そうそう、こういう店に行きたかってん」と後追いしているのが本当だろう。バルという「食べて飲めてノリが良くってしかも今っぽい酒場」ができて初めて、僕らはこういう遊び方が街にあることを知ったし、「ビオワインを出す焼鳥屋」ができて「焼鳥屋でもビオワインを飲みたい」と思うようになったのである。 バルの隆盛を見て思ったのは、街で遊ぶ人の気分はやはり店から生まれる、という当たり前のことだった。でも、なんとも哲学的で楽しい。「まずはじめに言葉ありき」、みたいな。 ※ アモルファス=原子や分子が不規則に密集している状態。 (文・大迫 力) |
![]() ![]() ![]() ![]() |
![]() |
|
|
食べたいし飲みたいし喋りたいし。というか何となく集まってワイワイやりたいムードの時はここだ。カウンターで小さなデキャンタワインを片手にしているひとり客もいれば、スクエアなテーブルではファッション誌にスナップされてそうなチームがいて、奥のテーブル席ではカップルが記念日ディナーだし、かと思えばヨコワケ部長風もおるやん…と顔ぶれの脈絡の無さにいつも驚く。
(文・大迫 力) [COPPA100]
|
![]() ![]()
|