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Meetsな人の20軒

自分にピッタリの1杯が出てきた時の至福

美味しい=素材と技術、だけじゃないからカクテルは、やめられないとまらない。

時代はシングルモルトだったり、自然派シャンパン、シェリーなのかもしれない。実際、「カクテルなんて時代とちゃうやろ?」てな発言も耳にする。それでもわたしはバーでカクテルを注文する。それは、ギターを持ったミュージシャンに出くわしたら、何か1曲弾いてもらわねばもったいないと思うのと同じ感覚だ。つまりはセコい性分による、ということなんだけど。

たとえばシングルモルトだと、注いで終わり。もちろんその注ぎ方はバーテンダーによって違うし、美味しくするためどう注ぐかが職人の「技」だ。だけどそんな、よそよりも美味しい1杯のシングルモルトを注ぐバーテンダーにこそシェーカーを振ってもらいたい。シェーカーに酒を注ぎ、氷を入れ、振る。グラスに注ぐまでいちいちカッコいい。見ていて飽きない。「どんな1杯ができあがるんだろう」と高揚感がある。

そんな、1杯で2度美味しい的楽しさだけではない。いくつかのお酒や果物をつなぎ合わせ、新しい味ができあがるのもカクテルの楽しさだ。酒に詳しくないだけかもしれないが、シェーカーに注ぐ酒やシロップ、レモンを見ていてもできあがりの味は想像できない。

以前、カクテルの全国大会に出場するバーテンダーとその出品作を取材したことがある。レシピを事前に教えてもらったが、それには、チョコレートリキュール+ピーチリキュール+ヘーゼルナッツリキュール+ヨーグルトリキュールとあった。リキュールばかり4種類、しかもどれも甘ったるいやつ。想像しただけで頭がクラクラしそうだったが、作っていただいたそれを飲んでびっくりした。めっちゃ美味しかったのだ。

ただ、どこの店でもカクテルを飲みたいわけではない。お店の志向もあるし(シェーカー振るより雰囲気重視とか)、正直なところバーテンダーの技術力も。けれどもなにより、カクテルは髪の毛を切ってもらうのと同じで、上手いだけじゃなく、こっちが欲していることに応えてくれるセンスや相性みたいなものが大きいと思う。「これください」と指さして得るものと違うから、だから楽しいし、ドンピシャな1杯が出てきたら、それだけでその店のことが好きになる。そして気付けば、街にはそういうことがたくさんある。

(文・溝口久美)

溝口久美さん

Meetsな人 溝口久美さん
ミーツ・リージョナル編集部。九州出身ということでなんとなく酒担当。であるが、いまだにシングルモルトはちょっと苦手。カクテル(&そんな雰囲気のバー)もガラではないと避けていたが、3年前今は無き太融寺のバー[〜ist]の系譜の取材を通じて開眼。

カクテル特集

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ミーツな人のオススメ1軒

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[elixir de Longue Vie(エリクシル ド ロングヴィー)]
(神戸・東門街)
1杯が美味しければ、もう1杯飲みたくなる。

カクテル職人と呼びたいバーテンダーが何人かいる。こちらの宮本さんもそのひとりだ。宮本さんの作り方はかなり変わっている。というか、みんながナイフフォークで食べている時にひとり箸で食べている感じだ。

宮本さんはシェーカーをほとんど使わない。シェーカーを使うところもミキシンググラスでやる。ミキシンググラスの中の液体に神経を集中させるようにじっと見つめ、バースプーンを回す姿には思わず「武蔵!」と呼びたくなる(笑)。ふつうなら、バースプーンでかき混ぜるのに、氷が溶けるから、早く、短時間でやりそうなところをゆっくり回転させる。でも、できあがったカクテルは不思議と水っぽくない。なめらかだけど硬度のある、宝石のようだと思った。

初めてこの店を訪れたのは1年くらい前。北新地の某店でいかにもバー慣れしてますといった風の男性から「神戸なら[エリクシル ド ロングヴィー]に行かな」と教えてもらっていたが、おそらくはBRIOとかを読んでるような男性ばかりだろうと敬遠していた。「ごはんがまだなんで、軽めの、果物を使ったカクテル」と注文すると「ベースは? 甘さは?」などとあれこれ訊かれることなく「はいはいオッケー」てなかんじで作り始めた。ブレンダーでシェイクし、仕上げはミキシンググラス。その作り方も独特で驚いたが、できあがった、ヨーグルト風味のミックスジュースみたいなお酒がめちゃくちゃ美味しくて、もっと驚いた。

後で聞いたのだが、いろいろ訊かれなかったのは、以前来店したお客さんと勘違いしてたというオチがあった。でも、結果的にこの1杯で、断然この店が好きになった。1杯が美味しければ、もう1杯飲みたくなる。結局、その時は次があったので、2杯飲んだだけだったけど、その2杯目も、ルビーのような美しい色とベルベットのようななめらかさ。と、思わず昔の雑誌に出てくるようなフレーズが飛び出す、衝撃的な美味しさ。店を出る時には「次はどんなお酒を作ってくれるのだろう」と、早くも次の1杯を楽しみにしていた。

(文・溝口久美)

[elixir de Longue Vie
(エリクシル ド ロングヴィー)]

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elixir de Longue Vie(エリクシル ド ロングヴィー)

elixir de Longue Vie(エリクシル ド ロングヴィー)

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