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阪急春日野道駅を停車中に、どこからともなく漂ってくる、焼きたてパンのえ〜匂い…。「?」と思いきや、駅のちょうど真下にパン工場があるから。この[一の宮ベーカリー]、実は神戸の有名喫茶店やホテルなど約1,000軒に30年以上パンを卸す、老舗ベーカリーなのである。もともと神戸・一宮にあったから、この店名。1日何百本も焼き上げる工場横に販売コーナーがあり、そこで一般の人も焼きたてパンを買える、というわけ。カレー風味の焼きそばパンやコロッケパン、ジャムパンなど懐かし系パンが並び、どれも良心的価格。小学生がおやつに菓子パンを買って行く姿が、この店では日常だ。
さて、ここの食パン、「毎日食べ続けても飽きない、美味しいパンがあるねん」とパン好きの友人に連れて行かれて以来、我が家の朝食には欠かせないトーストとなっている。といっても、「とびきりおいしい、驚きの味」でも、「フランス本場仕込みの本格派」でもない。「毎朝しみじみ美味しく食べられて、飽きのこない味」なのである。「そうそう、この味、この食感」というずっと変わらない安心とスタンダードさが、ここの食パンの真骨頂だ。駅から15分ぐらい歩く、少し不便な立地にある販売コーナー。にも関わらず、阪神間マダムがレンジローバーを店前に乗りつけて、食パンまとめて5本買い、その後にはパイプを積んだトラックの運ちゃんが…なんて「わざわざ」な光景が、食パンの凄さと阪神間パン文化を物語っていておもしろい。
取材時、焼きたてあつあつのパンにバターをちょいとのせて、レジ奥のトースターで焼いて食べさせてくれた。バターが程良く溶けた食パンは、カリッとしながらも中はもっちもちのフワフワで、香ばしい小麦の香りと味が口の中いっぱいに広がって、一生忘れられない味になった。
ハード食パン1本600円、優しい味のラスクも美味。焼きたてが揃う朝9時頃が狙い目。
※業務用商品も予約で小売り可
http://www.ichinomiyapan.co.jp
(文・森本亮子)
[一の宮ベーカリー]
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