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Meetsな人の20軒

ラーメン
ラーメンが好き?ラーメン屋が好き?

喫茶店やカフェに行くのが好きな人がいる。彼(彼女)らはコーヒーが好きで好きでたまらないから行っているというよりも、店の雰囲気やそこで過ごす時間や、一緒に行った人との会話を楽しむためにそこへ行っているように見える。何を飲むか何を食べるかということよりも、誰と行くか、何を話すかということの方が大切なように見える。あ、それなら酒場もそうか。

「ラーメンが好き」と人に言うと、「そうなんすか!ラーメン!いいすねぇ〜。どこがおすすめですか?」というようにだいたいリアクションは決まっているが、なかなかうまい答えが見つからない。僕からしてみると、喫茶店が好きな人と一緒なのである。つまりラーメンが好きというより、ラーメン屋が好きなのである。

よく雑誌やインターネットに登場する「ラーメン王子」や「ラーメン通」は、365杯以上のラーメンを1年間に食べているという。僕はとても真似できないが、きっと彼らもラーメンそのものが好きというより、ラーメン屋に行くことこそが好きなのだろう。

白いタオルを鉢巻にして「らっしゃい」と声を張り上げる店員さん、調理場・客席・レジ前、常に誰かが動き回って躍動感のある店内、手持ちぶさたゆえに何かを考えようとするけど頭に浮かぶのはラーメンのことばかりという待ち時間、なぜかそのときに限って誰からもメールが来ないケータイ、駐車場がなくて路駐したけど店内からクルマは見えなくてヒヤヒヤ、今は存在しないメーカーの給水器、汗をふきつつ大釜に向かう職人さんの背中、そういうもの全てひっくるめてラーメン屋の魅力なのである。

1軒ごとに笑いがあって、沈黙があって、ごちそうさんがあって、それが積み重なって歴史や色が作られてゆく。ラーメン好き=ラーメン屋好きにとっては、店ごとの違いを知ることや、自分と呼吸の合う店を見つけることは、うまいラーメンにめぐりあうことと同じくらい、あるいはそれ以上に楽しいのである。

ショッピングセンターの中にあるラーメンテーマパークや、ファミレスみたいにマニュアル化されたラーメン屋に対して僕が違和感を抱くのは、上記のような「ラーメン屋」の楽しさがほとんど省略されているからだ。

味の染み込んだラーメン屋に行くことは、ラーメンの味がどうであれ、それ自体が楽しい。街で遊ぶ楽しさや店を迷うつらさはラーメン屋通いに凝縮されているなといつも思う。わずか5、600円でそんな楽しさが味わえるなんて、なんとありがたいことだろうか。その気持ちを一人でも多くの人と共有したくて、僕はラーメンの記事を書いている。

(文:藤田功博)



ラーメン

ラーメン

ラーメン

ラーメン
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ミーツな人のオススメラーメン

ミーツな人のオススメ1軒
大中(京都・伏見)
この店があるというだけで、伏見区民がうらやましい。
 
大中(京都・伏見)

大中(京都・伏見)

大中(京都・伏見)

大中(京都・伏見)
中学校に入ってすぐの頃、イトコの家族とフレンチレストランに出かけた。高級な雰囲気の店で、美味しいものがちょこちょこと盛られた皿が何皿も出てくるような、いかにもなフレンチレストランだった。食べ盛りの自分にとっては、やや物足りない分量だった。

帰りのタクシーで、イトコのおっちゃんが「ラーメン食べへんか」と聞き、僕は思わずうなずいた。「運転手さん、桃山御陵の駅までたのんます」。御香宮神社の太く巨大な鳥居の下でタクシーを降り、京都の街中では見慣れない高架下へとおっちゃんは進んだ。やがて紺色の大きな暖簾に極太の赤文字で店名の書かれたこの店に着いた。

使い込まれてスポンジが顔を出している丸椅子に座り、頭の上をガタガタ走る近鉄電車の音を聞きながら、ラーメンを待った。伏見の高校に通っていたオカンはしきりに「懐かしいなぁ」といっていた。

カウンターを見ると赤い顔をしたサラリーマンやDCブランドのスウェットジャージを着た夫婦がセカンドバックをテーブルに置きつつ真剣な顔でラーメンを食べていた。そして出てきたラーメンは、醤油ベースのあっさり味に、食べごたえのある太めの麺。中学生の僕にとっては、「ドラマに出てくるような」としかいいようのない風景の中、ドラマに出てくるようなスタンダードな、かつうまいラーメンを一心不乱に食べたことを覚えている。なぜだかとにかくうまかったのだ。それが僕がラーメンを好きになった原体験になっている。そしてその時から、時と場合に応じてうまい店へ誰かを連れて行くことができるオトナは、なんかかっこいいなと思うようになった。

大人になった今でも、伏見に用事ができたときはこの店のことを思い出すし、行けるときには必ず行っている。チャーシューが何枚も入っている上に、キムチや温泉卵のトッピングに始まってネギの量や麺の固さまでオーダーはワガママし放題、で並が500円。年中無休で深夜まで。僕はある雑誌にこの店のことを「高架下の良心」と書いた。心からそう思う。ここのカウンターに座ってもワクワクしないとしたら、きっと一生ラーメン屋というものが好きになれないかもしれない。

(文:藤田功博)

[大中]
京都市伏見区観音寺町215
075-603-2712
11:30AM〜2:00AM
年中無休