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Meetsな人の20軒

洋食
洋食はかつて舶来崇拝のシンボル。
現代は世代やジャンルを超えた日本食に。


洋食とは西洋料理が変化した日本ならではのジャンルである。言い換えれば、それは日本人志向の塊であり、つまり日本食である。ここまで国内で変化を成し遂げたガイコク食が他にあるだろうか。その背景には日本人がもっているガイコクへの憧れ、舶来崇拝思想があるだろう。そして、現代ではすっかり日本人独自の世界として確立してしまっているのも、吸収と加工好きの日本人らしい取り込み方とも言える。少し洋食の経緯を振り返る。

西洋料理は明治時代にイギリス経由で日本に伝来。だが、その当時はごく一部の金持ちが食べるステータス食であり、大部分の国民には高嶺の花だったという。しかし、その伝来メニューの中に本来インドのものであるはずのカレーもあって、それが戦時中の軍隊食に作られるようになったことで一気に庶民食となる。後の昭和高度経済成長期には、レトルトのハンバーグやハヤシシチューなどがお茶の間で、またケチャップで炒めたイタリアンスパゲティや各種のコロッケなどが喫茶店やレストランで大ブレイクを見せていく。

そして、面白いのはこれらすべての洋食が、1種類の品が主役となる単一主食主義であるということだ。元来、西洋料理の場合は中華と同様、前菜、副菜、メイン格が2〜3種類、箸休め、などと幅広く食事をすすめていくもの。それが日本洋食ではハンバーグがすべて、スパゲティは焼きそばの如く、カレーは親子丼同様ライスとの二人三脚となるのだ。

こうなると日本における洋食は、もはや単なる舶来崇拝だけで片付けることは出来ない。本場を無視して、完全に日本独自の概念を形成してしまったといえる。ついこの間までレストランでは松阪か神戸かなどと牛肉の産地を競い、最近では野菜の産地や自家栽培にこだわってみたり。コンビニやスーパーにおいてはパスタやサンドイッチ、スープなど、毎月のように味もスタイルも変化していき独創急進。さらに各地方団体も郷土カレーなるものを乱れ打ち、昨年くらいからはオムライスを茶漬けにしたり、カレーにバナナパフェを入れたりするコラボと称する特異な世界も出てきている。

洋食は日本人の夢、そして今は日本の食。今後はコンビニ、レトルトパック、新旧レストランなど各世界で、ますますの多様化と極分化が見られ、個性の洋食が問われることになるだろう。  

(文:河村研二)


洋食

洋食

洋食

洋食
関西の代表洋食オムライス みんなのアイドルハンバーグ 命がけのハヤシライス 心躍るエビフライ

ミーツな人のオススメ洋食

ミーツな人のオススメ1軒
[十三・大富士](大阪・十三)
下町十三に今なお生き続けるとんかつとデミグラスソース
 
  [十三・大富士](大阪・十三)
  ↑スタイルは和。ライスは茶碗、スープは味噌汁、自家製の漬物。ほか、トン、ビフの各ジクセリ(卵ソテー)も人気。
  [十三・大富士](大阪・十三)
   
  [十三・大富士](大阪・十三)
   
 
[十三・大富士](大阪・十三)
  ↑中川さんのご兄弟の店がほかにも3店ある。JR立花駅、JR堺市駅、東大阪不動牧岡線沿い。
   
十三駅東口改札をでて徒歩1分。とある一本の極細路地を入ると、昔懐かしいロウ細工のメニューが並んだショーケースがある。ここが創業50年になる洋食屋[十三・大富士]だ。

普通、洋食といえばハンバーグやオムライスが主役のイメージだが、大富士では“とんかつ”が主役となる。

ステンレス製の楕円形の皿の淵には「とんかつ大富士」の色褪せたロゴが薄っすらと。中身はキャベツの千切り、トマト、直径5ミリほどもある太いスパゲティのケチャップ炒め、そして主砲のとんかつ。ここに50年間変わらぬ味のデミグラスソースが乗ってくる。色はやや赤色、濃厚だが、今時の酸味と甘味を強調したようなものではなく、もっと複雑で、優しく、まろやかな舌触りと風味が特長だ。さらに執拗に脂分を加えないので、後味はすーっと抜けていく感じもここならではの潔さである。

牛や豚の素材の薀蓄を言う前に、日本の洋食屋たるその個性の核心は、やはりこのデミグラスソースではないだろうか。

[十三・大富士]ではこれを1ヶ月もの時間をかけて仕込まれている。2代目店主の名は中川博史さん。50年前に先代が築いたレシピを今なお頑なに守り続けている。牛のスジを煮込み、そこに野菜やスパイス、ハーブをたっぷりと入れてさらにじっくりと煮込んでは漉す。そして、また煮詰めてはこの一連の作業を繰り返し、後半は鶏がらでとったスープで解いて、またベースを加えて濃厚なものに仕上げていくのだ。

「よく頑固もんやと言われます。でもね、親父が残してくれたもんやから。それに下町といわれるからには、どこにでもあるようなもんやのうて、やっぱり個性がないとあかんと思うんですわ」。

目には見えず、売上にも直接に関係なく、はたまた時代に合っていないとまで言われても、家伝の技とスタイルを貫くその姿勢が下町十三の洋食屋の生き様なのであった。

(文:河村研二)

[十三・大富士]
大阪市東淀川区十三東3-28-18
06-6301-5917
11:30AM〜3:00PM 5:00PM〜9:00PM
日休