
札幌を拠点に活動する5人組バンド、サカナクション。1stアルバム『GO TO THE FUTURE』で、その名を世間にとどろかせた彼らが、ついに2ndアルバム『NIGHT FISHING』を発表した。
非現実的な仮想空間を生み出すサウンドメイキングが、深淵な夜を想起させるニューアルバム。だが、それを俳句のように計算しつくした言葉の配置によって、叙情感を備えた歌ものとして開花させる手腕には驚きだ。そして、この両方の要素を知らしめた本作は、彼らが今後、より自在に音楽シーンを泳ぎ回っていくことを予感させる。そんな、希代の泳法を身につけたサカナクションのフロントマン・山口一郎(Vo&G)に話を聞いた。
__2ndアルバム『NIGHT FISHING』が発売されましたが、今作は前作の1stと比べて、どういったところに一番こだわって制作されたんでしょうか?
前作の『GO TO THE FUTURE』は1stということで、自分たちの過去の作品を中心に厳選し、制作した全8曲、名刺代わりのアルバムだったんです。でも今回は、新しいサカナクションを掲示しつつも、前回まで評価されてきた部分を失わずに、よりポピュラーに制作していくことを考えました。
1stに関しては、音楽シーンに対してどういうアプローチをすればいいのか、どういうところに評価されるのかということが、全然分からなかったんですね。でも、リリースされてから時間が経ってくるうちに、自分たちのポジションが見えてきたんです。だから、その次にどんなアプローチをすべきかということを模索した結果、こういう作品に仕上がりました。
__具体的に、どういうアプローチにしようということに至ったんですか?
テーマとして見えてきたのが、エンターテインメント性の高いポピュラーな音楽と、すごくアンダーグラウンドなシーンでミニマルに活動している音楽の、ちょうど中間を射抜く音楽をやりたいということですね。非常に困難なことなんですけど、それに挑戦し続けることに価値があるなと。
__本作でも、エレクトロニカとかテクノ、クラブミュージックを取り入れているにも関わらず、歌詞には日本語独特のいい響きの言葉や言い回しが使われていたりする。両方が融合することで、全体的にすごくポップな印象も受けますよね。
僕も含めてメンバーはみんな暗い音楽が好きなんですけど(笑)、そういう人間たちがJポップっていう世界で勝負していくと腹を決めてるんですよね。だから、いかにして曲にアンダーグラウンドの要素を詰め込んで、暗くしていくかっていう…(笑)。その暗さ加減というか、バランスを保つのがおもしろくもあり、サカナクションのアイデンティティになっていけばと思ってるんです。
__そのほか、前作に比べてサウンド面で新たに挑戦されたのは、どういった部分ですか?
派手さですね。派手にする方法は何通りもあるんですけど、いかに分かりづらく派手にするか。すごくポップなメロディに対してキラキラした音を入れると、すっごい派手になる。でも、そうじゃなくて、すごく悲しくて切羽詰まってるんだけど、音だけキラキラしてるみたいな派手さの方が、自分たちっぽいんじゃないかって。そういう絶妙な“キラキラ”に気をつけました。
__そこは、今回のテーマでもある“夜”のイメージに通じる部分ですね。
夜、月が海に反射して揺れてる感じとかって、決して派手じゃないですけど、キレイじゃないですか。そういう、心がザワつく感じを出していけたらと。くすぐるだけくすぐって盛り上がるのかと思いきや、盛り上がらないで終わるみたいなね(笑)。でも、それが癖になって欲しいというか。
__先ほども少し触れましたが、サカナクションの曲は少ない言葉数で、いかに広い世界を表現するかということに挑んでいる印象を受けるんです。山口さんの趣味は読書と釣りと伺いましたが、詞を書く上で本から影響を受けることなんかは多いですか?
感覚を言葉にする手法というか、目に見えないものを詞にすることに対しては、すごく勉強になりますよね。しかも、小さい頃から本ばっかり読んでいたので、文字に対して抵抗がなく、自然と気持ちを言葉にできるようになった気はします。
__ブログの中で、萩原朔太郎さんの本を勧められているのを拝見したんですが、やはりそういった幻想的な世界がお好きですか?
好きですね。あと、種田山頭火さん、中原中也さんとか。それと、自分の芯になっているのは、宮沢賢治さん。宮沢さんのファンタジックな感じや、堅実な言葉の言い回しには特に惹かれます。やっぱりそういう影響が反映されることで、より自分の実像が、言葉になって表れるんじゃないかと思うんですよね。そんな世界観や言葉を踏まえて、種田山頭火さんみたく、常にノンフィクションでありながらも、あんなにぶっ飛んだものではなく、もっと日常的なことを書けたら、きっと共感してくれる人がいるんじゃないかというのが僕の考えなんです。
__非現実的な世界観を備えつつも、それがノンフィクションであることで説得力が生まれるわけですね。そういったことも加味してか、サカナクションの曲はすごく映像が浮かびやすいと感じたんですが、実際作られるときに色や画が浮かんだりはするんですか?
完全に映像が浮かんでますね。映画みたく。「ナイトフィッシングイズグッド」っていうのはまさにそういう作品で、釣りをしているときの感覚を歌にした曲なんです。しかも、途中で合唱コンクールが始まるっていうのがテーマで(笑)。
夕陽を見ながらぼんやりしていると、だんだん陽が暮れて辺りが静まり返ってくる。そこでいきなり大きな魚が釣れる! そして、そのハラハラした感じが朝まで続くみたいな。それを音と言葉で表現したかったんです。だから、あの合唱の部分は魚が釣れた歓喜なわけですよ(笑)。
__なるほど、そう聴くといっそうはっきりと映像が浮かんできそうです。さて、3月からはツアーも控えていますが、今後の展開について聞かせてください。
僕らは音源とライブがすごく違うバンドだと思うんです。僕にとって、音源は作り込んだ絵画的な作品じゃなきゃいけないと思っているんですが、ライブはショーなんですよね。だから、音源で作った音の起伏やバイオリズムを、ライブではさらに激しくつけて、盛り上がりをかき立てる。ツアーでは、そういう部分を全面に出していって、自分たちも、お客さんも最高に楽しめるライブにできたらと思います。
あと、今後も変化を恐れたくないですね。売れる曲が一曲できたからって、そういう曲ばかりを作るんじゃなくて、次はもっとたくさんの人に聴いてもらえるチャンスと思って、もっと変なことをやるみたいな(笑)。いい意味で期待を裏切るというスタンスで常にやり続けていきたいと思いますね。
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Jポップっていう世界で勝負していくと腹を決めてるんです |
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分かりやすく、そして、突き抜けたい |
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Jポップっていう世界で勝負していくと腹を決めてるんです |
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歌ってるときに血がアツなったり、感情が高ぶって歌詞を書いたり、そういうことで生きてることを感じたりするんです |
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「あっ!ちょうちょや」これは、ベベチオでやりたかったことなんです |
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12篇の歌が終わったあとに残るもの |
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150キロのストレートじゃなく、120キロくらいのストレートを放って客にバカバカ打たれたい |
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今の生活を肯定できるような歌でありたい |
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言葉が音に寄り添い、音が言葉に寄り添う |
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自分の解釈で楽しんで欲しい |
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スチャダラだけではこういうリズムの曲はやんないな |